A Story About My Uncle

A Story About My Uncle

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A Story About My Uncle 日本語訳
By zwwsan
日本語サポートが無いからとプレイをためらっている方へ向けてテキストを翻訳しました。
プレイの一助となれば幸いです。
   
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はじめに
日本語がないからプレイできない、プレイしたけど話は分からなかったというのを見かけ、
この物語を目いっぱい楽しんで欲しいと思い、日本語訳ガイドを作成しました。
そのため未プレイで読むのはオススメできません。

場面が大きく変わる部分をチャプターとして区切っています。
また、本筋ではない収集要素にはワンクッション挟みました。

なお、このガイドは筆者がプレイ時に見つけたテキストを翻訳したものであり、
未発見や前後するものがあるかもしれません。

たぶん大きく意味が違うものはないはずですが、問題や間違いなどあればご指摘ください。
非公式であり公式とは一切関係ありません。
プロローグ

ねぇパパ。


まだ起きてたのかい?
もう寝る時間だよ。


眠れないの。
おやすみのお話をしてくれない?


いいよ。
どんなお話が聞きたい?


うーん、冒険のお話がいい。


ふむ、ちょうどいいお話がある。
君と同じくらいの時、私の一番の夢はフレッドおじさんにくっついて世界中を冒険することでね。
ある日、フレッドおじさんは姿を消してしまったんだ。
チャプター1:フレッドの家
私はフレッドの家に足を踏み入れた。
フレッドの家は私のお母さん、つまりは君のおばあちゃんだね、おばあちゃんと一緒に住んでいた家の丘向こうにある。
おばあちゃんは行ってはいけないと止めていたが、フレッドが冒険から帰ってきているかどうかを確かめたかったんだ。


フレッドは旅先から私にポストカードを送ってくれるんだ。
ネパール、ガラパゴス、キリマンジャロ、アマゾン川から!
フレッドが何も言わずに出発して、カードも送ってこないなんてこれが初めてだった。



数え切れないほどフレッドの家に行った。
でもその日は少し違った。
いつもは閉じられているはずロッカーの中に、見たことのない何かを見つけたんだ。
それはフレッドが使っているアドベンチャースーツに見えたけど、サイズは小さい。
好奇心が抑えきれなくて着てみることにした。
まるで私のためにあるかのようにぴったりだった。


観測室は家の中で一番不思議な部屋だ。
そこでフレッドはずっと実験をしていて、今ではゴミを処分するため発射台を置くほどになっていた。
フレッドは私に何も触っちゃいけないよと注意していたが…
さっきも言ったね、好奇心に勝てるものなどあるわけないと。
チャプター2:落下地点
かなりの衝撃で着地したが、スーツのおかげで傷ひとつなかった。
あの発射台でどこに飛ばされたのか全く分からなかったが、当時の私はそんなことあまり気にしていなかった。
どうやって家に帰るのかすらもね。


スーツは落下の衝撃からは守ってくれるが、水はダメなようだ。
これを着たまま泳ぐことはできないみたいだ。
気を付けなくては。


誰かが私より先にここに来たんだろう。
誰かが橋をかけ、シンボルを刻み…でも誰が?どこへ行ったんだろう?


奇妙な機械を見つけた。
何かの測定機器で、フレッドのものだろう。
測定が終わったように見えたから、フレッドに渡すべく結果を取った。



どうしてフレッドおじさんがそこにいたって分かったの?


いい質問だね。小さなキャンプ跡を見つけたんだ。
洞窟の奥へ行く前に誰かが睡眠をとったんだろう。
そこにフレッドの好きな登山食の空のパッケージが散らばってたんだよ。
缶詰のスープ、チューブに入った食べ物、インスタントラーメン。


チューブ!?
うえぇおいしくなさそう!


いやいやそんなに悪いもんじゃないよ!
ある冬にフレッドと登山へ行った事があってね、そこで吹雪に見舞われてしまったんだ!
2日間も小さな小屋で立ち往生、食べたのはチューブと冷たい缶詰のグーラッシュだけ。
君のおばあちゃんはとても心配していたけど、刺激的でとても楽しい思い出になったよ。



見つけたパワーコアはスーツのグラップリングデバイスを動かしはじめた。
フレッドがここに残していったんだ!


グラップリングデバイスは伸ばしたところに模様のようなものを残すようだ。
洞窟に似たシンボルがすでに付いていることに気が付いた。
フレッドも同じように進んでいったんだろう。


アドベンチャースーツは感動するほどいいものだった。
パワージャンプとグラップルを併用することで、ものすごい速度で長距離を飛ぶことができた。



フレッドおじさんの実験って見たことある?


あるさ。実は時々研究に使うサンプル集めを手伝ってたんだ。


お勉強のため?


そう!
いろいろ見つけた。
ある時、私とフレッドは森で卵でいっぱいの小さな水溜りを見つけたんだ!


卵?
鶏でもいたの?


いいや!鶏の卵じゃない!
小さくてゼリー状で何百も!
フレッドはこれがカエルの卵だと教えてくれた。
しかしこの後、思いもかけないことが起こった。さて何が起こったでしょう!


な、なにが起きたの?


ふふ、私たちはいくらかの卵を家に持ち帰ったんだ。
そして次の日、フレッドは体中のかゆみで目が覚めた!
それはカエルの卵ではなく蚊の卵だったんだ!


あぁぁ…フレッドおじさんかわいそう!


かわいそうだね!
でもちゃんと本物のカエルの卵も見つけたよ。
フレッドはとても特別な卵だと言っていたが、何が特別なのかは分からなかった。



ふむ…。
青いライトがある。
これもフレッドが置いたのだろうか?
それとも他にも誰かいる?
チャプター3:村
???
こんにちは。キミは誰?
キミはここの産まれじゃないよね!
わお!
まるでフレッドみたいだね。ちょっと髪は少ないし小さいけど。

彼女はフレッドを知っていた!
私は彼女にフレッドは私の叔父であること、そして探しているという事を話した。

???
おじさんってなぁに?

私はこう言った。彼は…
産まれた時からずっと知っている人だと。

マドレーヌ
そうなの?私も!
フレッドを探すの手伝ってあげる!
私はマドレーヌ。マッドマディって呼ばれてる…。
理由は分からないけどね。マディでいいよ。
まだ村には行ってない?
向こうの広場で会おうよ。案内してあげる。
そのスーツがあれば簡単に行けるよ。
じゃあ、またね!

信じられなかったよ!
地下に村があって、住んでいるのは…カエル人間。
いやサラマンダーの方が近いかな。
どちらにせよ、彼女は人間のように話し、人間のように歩いていた。
ありえると思うかい?


マドレーヌ
おーい!
こっちこっち!
やぁ!ようこそ私の村へ。
ここが村の広場。そしてあそこがフレッドのテント!
2、3日はフレッドを見ていないけどね。
たぶんサミュエル長老なら居場所を知ってるんじゃないかな、物知りだから。
大抵は退屈な話だけど、訊いてみる価値はあると思うよ!
長老を訪ねる前に、村を探索するといいよ。
そんなにかからないと思うから。
それが終わったら風車のある島へ行ってみて。そこから長老のいる洞窟が見えるよ。
私は先に行ってキミが来るって長老に伝えておくよ。
サプライズはあんまり好きじゃないみたいだから。
あとでね!

私はマドレーヌに感謝して、あとで会おうと答えた。
私は自分が人間ではない彼女と普通に話して、受け入れていたことが不思議でならなかった。


村のほとんどの家はガラクタで出来ていて、それらには見覚えがあった。
このガラクタたちはあの観測室から来たものだった。



フレッドおじさんがいなくなってからどれくらい経ってたの?


どうだろう。2、3か月くらいかな。
半年は経ってなかったと思う。
前の夏にフレッドと一緒にハイキングに行ったからね。
でもフレッドの日記と私が最後に会った日を数えてみてもどうしても合わないんだ。
マディは自分も生まれた時からフレッドを知っていると言っていた。
たぶん比喩的な意味だったんだろうけど。


ひ…、ゆ??


言葉通りの意味じゃないってことだよ。
君が誕生日にワンちゃん飼ってくれないと死んじゃうよ~って言うみたいに。


嘘じゃないもん!


ごめんごめん、そうだね。




フレッドおじさんに子供っていたの?


いいや、知る限りフレッドは一人暮らしだったよ。
家族のために使う時間が取れなかったんだと思う。
研究で忙しくてほとんど家には居なかったからね。
数か月帰ってこないこともあった。
次はいつ会えるのかなんてまるで分からなかったよ。


フレッドおじさんは寂しくなかったのかな?


忙しくて寂しいと感じる暇さえなかったんじゃないかな。
でも村で新しい友達を見つけたみたいだ。
マディは特にフレッドに懐いていたようだった。すべての仕草がフレッドそっくりだったよ。
たぶん、彼女にとってフレッドは父親同然だったんだろう。


マディにはほんとのパパっていなかったんだよね?
卵から産まれたなら。


そうだね。そこが私たちとは違うところだ。



サミュエル
客人か。
ようこそ。
我々の名前はサミュエル、我々は君を助けるために最善を尽くそう。
ここへ来た理由を教えてくれるかね?

私はフレッドを探している事を彼に話した。

マドレーヌ
助けてあげなきゃ!
フレッドがどこにいるか知らない?

サミュエル
フレッドは何も言わず我々のもとを去った。
どうしても彼を見つけたいというのなら、神聖なコアクリスタルを分けてやってもいいだろう。
フレッドはスーツの動力としてクリスタルの力を使っていた。
我々のもとへフレッドを帰してくれるならば、君に授けよう。

マドレーヌ
クリスタル?すごい!

サミュエル
マドレーヌ、お前にはふさわしくない。
お前は村に残りなさい。
お前が使うためにクリスタルを授けるわけではないのだ。

マドレーヌ
なんで?
一緒にフレッドを探したいのに!
どうしてダメなの?

サミュエル
分かってくれマドレーヌ。ダメなものはダメなんだ。
裂け目には誰も入ってはならない、あまりにも危険だ。

マドレーヌ
危ない?何が?
フレッドにできたんだから、私にだってできるわ!

サミュエル
お前のために言っているんだ、マドレーヌ。
裂け目に立ち入ってはならぬ!

マドレーヌ
村の外が怖いだけでしょ!私には関係ない!
私は長老とは違う!
そんな風には絶対にならない!

サミュエル
すまなかったな。
彼女を守りたいのは本当だ。しかし彼女は理解してくれないのだ。
後ろにあるのがコアクリスタルだ。
持って行きなさい。そして裂け目へ進みなさい。
フレッドを探すのです。
そしてマドレーヌを見つけたら…気にかけてやってくれ。
無事を祈る。


裂け目へ入るのは少し不安だった。
マディにとって危険というのなら、私にとっても危険なのではないだろうか?


村のきらびやかな光を背に残し、闇が圧倒する不吉な影へと足を進めた。
チャプター4:裂け目
裂け目に入ると、暗さが私を襲った。
その影はまるで黒いインクのよう。
強がってはいたが、震えを止めることができなかった。
村人も同じように闇を怖がっていたのだろうか?
それともまだ何かが?


フレッドおじさんとの他の話も教えて!


そうだな。
ある初夏の朝、フレッドがカゲロウを見に湖へと連れて行ってくれた事があってね。
すべてはまだ静寂に包まれていた。
カゲロウの幼虫は湖面に浮かび、ゆっくりと美しいカゲロウへと姿を変えた。
フレッドは幼虫は1年も湖の底に住んでいるんだよと教えてくれた。
そして、羽化からたった1日しか生きられないということも。


悲しいね。
湖の底から出たその1日が雨だったらどうする?


悲しくて仕方がないだろうね。




マディ?

マドレーヌ
やぁ…。来てくれて嬉しいよ。
さっきはごめん…。ちょっとがっかりしちゃった!
長老たちは知識にしがみついて、新しい事を何もしようとしないんだ。
もしフレッドがいてくれたら、でも…。

私はマドレーヌに気にしてないと伝えた。そして持っている本は何かと尋ねた。

マドレーヌ
ああこれ!この本には秘密の言語が書いてあるんだよ。
ずっと昔に村を去った人たちが作ったの。
その人たちは流浪の民って呼ばれていたけど、誰もその話をしたがらないの。
私はフレッドが見つけてきた流浪の民の本を参考にして、彼らの言葉を翻訳してるんだ。
これは…「目が開いている間は動くな」って書いてあるんだと思う。
どういう意味かは分からないけど…。
まぁいっか。
ほら行かなきゃ!
背中に乗せてもらってもいい?
そっちの方が速いから!
いつもフレッドにおんぶしてもらってたんだ。
後ろ向いて、飛び乗るから!
落とさないでね、いい?
よし、さあ行こう!

マドレーヌは私の背に飛び乗った。スーツのおかげで重さはかろうじて感じる程度だった。


曲がりくねった狭い洞窟は私に迫って来るように感じた。
奇妙に長くてねじれている。
まるで誰か、または何かによって掘り抜かれたようだ。
背中のマディの頭を天井にぶつけないように注意しなければ。


マドレーヌ
「古い生命に別れを告げ、我々は新たに出発しよう」
ずっと昔に村に住んでいた流浪の民は普通の人々だった。
彼らは古い伝統に異議を唱え村から去った。
もしくは、彼らは不正をしたために村から追い出された。
2つの話は少し違う。


一見底なしの穴は、洞窟のいたる所で私たちの足元に迫った。
進めば進むほど、下の方にあったかすかな光がますます細くなっていくように感じた。
独りではないことが本当に嬉しかったよ。


マドレーヌ
「注意せよ」
何にだろうね?


いまのはなんだ?
いままでこれほど恐ろしい生き物の鳴動を聞いたことなんてなかった。
そしてそれは訪問者を歓迎する声だとは思えなかった。



フレッドおじさんがいなくて寂しかったでしょ?


あぁ、本当寂しかったよ。
学校が終わると毎日フレッドの家へ行ってたよ。家にいるか確かめたくてね。
彼がいた時はとても楽しかった。
私はフレッドの実験を手伝い、フレッドは冒険の話をした。


パパと私みたい!


そうだね!
でも、おばあちゃんはそれをよく思ってはいなかったんだ。
彼女はフレッドの家は危ないから行っちゃだめ、と言っていた。
私にはどうしてなのか分からなかった。


でもフレッドおじさんとおばあちゃんは兄妹じゃない!
どうしてケンカしていたの?


2人はケンカしてたわけじゃないよ。
ちょっと考え方が違っていただけさ。
私は大きくなってから、ずっと憧れていたフレッドの遠征について行くようになった。
でもおばあちゃんが喜んで私を送り出す事は一度もなかったね。
フレッドは大丈夫だよと説得してくれていたけれど、それでも心配なことに変わりはなかったみたい。



マドレーヌ
向こうの光る植物が見える?
あの植物にグラップルしたら何か起こるんじゃないかな。

マドレーヌ
言った通りでしょ!


マドレーヌ
底の方は本当に暗いね。
キミは怖い?
もちろん私は平気だけど。


マドレーヌ
最初の村人が生まれた時からフレッドは私たちと共にいたの。
村を造るのを手伝ってくれたり、言葉を教えてくれたり、全部フレッドのおかげだよ。
私は読み書きも教えてもらった。
そのおかげで壁の文字を読むことができるんだ。


マドレーヌ
きゃああ!戻って!はやく!
うわ、すっごい!
壁に書いてあった「目」ってきっとあれのことだよ。
たぶん、あれの前で動くのはまずいと思う。
なんて書いてあったか思い出して。「目が開いている間は動くな」だよ。


マドレーヌ
やった!やるじゃない!
キミすごいよ。
私はキミなら行けるって思ってたよ。


危なかった!
私たちは目を潜り抜けた。もはや何者もフレッド探しの邪魔はできないと思ったね。
チャプター5:スターヘイヴン
マドレーヌ
あ、またあるよ!
これはね…「おかえり」。
わぁ!
ここだよ!
流浪の民が造った村!
なんて美しい場所に造ったんだろう…。
空を見て。
すごく大きい…。


顔に照りつける太陽と髪を撫でる優しい風は私を安心させてくれた。
長く洞窟の中だったからか、さわやかな風はこの奇妙な旅の不安を吹き払うに十分だった。


旅の最中、空中に浮く岩をたくさん見たけれど、ここの岩はこれまでよりはるかに大きかった。
その中でもいくつかの岩は、上に村がすっぽり収まるんじゃないかってくらい大きかった!
どうしたらそんなことができたんだろう?
いろんな所にあったクリスタルの力によるものだったのかな。


言い伝えが本当なら、流浪の民たちの歴史はマディたちの村より浅いはずだ。
でも、彼らの方が大きく発達していた。
彼らはクリスタルの力で動く機械を造り出し、自分たちで編み出した布を使い、レンガと石で家を建てていた。
文明が目の前に形作られたようだった。


マドレーヌ
わあ!


どうして彼らはそんなふうに村のクリスタルを使わなかったの?
村の人たちはひとつも持ってなかったの?


いくつか持ってはいたけど、クリスタルを使うことは決してなかったようだ。
彼らはクリスタルが神聖なものだと考えていたからね。
それらは生命の源であり、気軽に触れていいものではなかったんだろう。


あれ?フレッドおじさんはクリスタルを使ってなかった?


パワーコアとして、ね。
彼は例外だったんだ思う。
一方で流浪の民はクリスタルを掘りだして、いろんな機械の動力やデコレーションのために使っていた。
別の方法なら称賛されていたのかもしれない。



マドレーヌ
ねぇ、ゲームしようよ!
グラップリングデバイスを使わずにここは越えられないと思うの。

※成功
マドレーヌ
やるじゃん、よくやったね!

※失敗
マドレーヌ
出来ないってことだね。

マドレーヌ
わ、あれ何だろう?
ブーツだ、見て!
履いてみてくれない?
スーツをアップグレードしようよ!
強そうに見えるよ、ね?

このブーツの追加で、少なくとも20%くらいは涼しく感じた。

マドレーヌ
ちょうどいいや!
ブーツを試してみようよ!


マドレーヌ
ウィー!
すごーい!

最高だった!
弾丸のように空気を裂いて進む感覚をどう言い表せばいいだろうか。
目が滲むくらい速く。
お腹の中は蝶々でいっぱい。
完全に制御できたわけではなかったが、宇宙一かっこいい子供になった気分だった。
ふふ…。
それを言葉で説明できると思う?


マドレーヌ
私もクリスタルでこんなものを作ってみたい。
考えようによってはできるのかもしれない!
いろんな機械がクリスタルの力で動いているなんて、あんまり信じられないけど。


ぼんやりと見える大きな氷山に、私は背筋が凍るような感覚を覚えた。


ここへ来てから1度も人影を見かけなかったが、ついに前方に町のようなものが見えた。
マディが語る流浪の民の話…。
彼女は産まれてから今までどれほど彼らに会いたいと思っていたのだろうか、ついに会えるんだ。


マドレーヌ
すてき!
きっと流浪の民だよ。
彼らに挨拶がしたいの。
ちょっと降ろして。

マドレーヌ
こんにちは、みんな!
私はマディ、村から来たの。こっちは友達。
彼はフレッドを探しているの。

アーヴィン
すごいな!
今まであの洞窟からここまで来た人なんて見たことないよ。
僕はアーヴィン、こっちはインゴでそっちはタミア。

インゴ
スターヘイヴンへようこそ。
でさ、村ってどんな感じ?

マドレーヌ
村はいいところだよ。
でもこの場所をよく思わないとは思う。
こんな機械やクリスタルはないんだもの。
村ではクリスタルは神聖なもので使うことは禁じられてるから。

タミア
うそでしょ?
クリスタルの力は私たちの町の主な動力なの。
村の生活は原始的な…
いや、なんというか、シンプルそうね。

マドレーヌ
うん、まぁでもそれもそんなに悪くないよ。
実は持ってるクリスタルにちょっとだけ秘密の実験をしたんだ。
このランプみたいな感じの。

アーヴィン
きみがそれを作ったの?
すごい!
たとえ誰かに教えてもらったとしても僕には作れないよ!

タミア
しかもクリスタルを使う方法も知らないのにでしょ。
若いのに才能あるよ。
話しあえばもっと多くの発見があると思うんだけどなぁ。

マドレーヌ
実はここに長くいるかどうか分からないの。
私たちはフレッドを探してるんだ。
どこに行ったか知らない?

インゴ
分かるよ!
その人は2、3日前にここを通ったよ。

タミア
私たちはクリスタルのエネルギーを使う方法を彼に教えたの。
山の中央に向かったわよ。

インゴ
でもそこへ行くには氷の洞窟を通らないといけなくてね。
一緒にはいけないんだ。

タミア
氷の洞窟に向かう飛行船があるわ。
ここからドックへは近いわよ。
山の方へ道を辿っていけば見逃すことはないと思う。

アーヴィン
うんうん!
幸運を祈るよ!

マドレーヌ
ありがとう!
バイバイみんな!


マドレーヌ
とってもいい人たちだったね!
遠い村から来た私たちを変だなんて思ってない感じだった。
すごく助かったし、私の作ったランプを褒めてくれた!
村の人たちもこうだったらよかったのに。



マディっていくつくらいだったの?


さぁ…。でも私と同い年くらいだったんじゃないかな。


マディのこと好きだった?


あぁ。マディは気さくで面白い子だったからね。


そうじゃないわ。好きだったの?
かわいかった?


あぁそっちか。かわいかったよ。でもそういう事を考えるような年ではなかった。


いい雰囲気にならなかったの?


いや、そんな、マ、マディは人間じゃないから!


そんなことどうだっていいじゃない!
友達に吸血鬼と結婚するんだって言ってる子いるもん。


え…彼女にためにも…それは…
お話に戻ろうか…。



マディはしばらく黙ったままだった。
彼女はなにか一生懸命考え事をしているようだった。


マドレーヌ
急いで!
その木箱を掴んで!


船長
よお!
この船は氷の洞窟行きだけど、俺はほかの方法をオススメするね。
それは乗らずに戻ることだ。

マドレーヌ
あのね、私ね、その…ちょっとだけ待って!
考えていたことがあって、その…キミと一緒に行くべきかどうか迷っているの。
別にそういうつもりじゃなくて、えっと…
付いて行きたくないわけじゃないの、その…ここに残りたいの。
おかしいと思うかもしれないけど、あの町の人は私の事を気に入って受け入れてくれた。
キミみたいに。
でもキミと一緒にフレッドも探したい。
どうするのが一番いいのか分からないの…。

私は君がどんな選択をしても受け入れるよとマドレーヌに伝えた。

マドレーヌ
今までそんなこと考えたことなかったけど、たぶん…
私が探していたのはフレッドじゃなかったのかもしれない。そんな時キミと出会った。
きっと自由を探していたんだ。
自由になりたかったんだ。
そしてフレッドを見つけることができるのはきっとキミだけなんだよ。
もしフレッドを見つけたら、私に会いに来てほしいって伝えてくれないかな、だめ?

断る理由なんて一つもなかった。

マドレーヌ
ありがとう。
キミと出会えてよかった。
ちょっとだけ…キミがそばにいないと寂しいかな。
さよなら…。ともだちだよ。

私もマディにさよならを告げた。そしてこれが彼女といる最後の時のような気がした。
でもね、この悲しいはずの別れの瞬間、私は幸せだったんだ。
マディが自分の居場所を見つけたのだから。


暑い夏の夜に家に帰った時を思い出すような湿度。
しかし太陽が沈んだかのような忍び寄る寒気を感じた。
飛行船が第2の氷河期へ導いているようだった。
冬が来る。
チャプター6:氷の洞窟
この旅で2度目となる洞窟の中へと入った。
氷で覆われた寒くて味気のないホールには私一人。
しかしフレッドはここにいるだろう。
そんな気がした。
近付いている。


何かがおかしかった。
グラップリングデバイスのエネルギービームが氷で反射して掴むことができなかったんだ。
氷が厚くない場所を探さなくちゃいけなかった。
これがまた大変だったよ。


クリスタルにグラップルしてみると、突然足元が揺れ動きだすような感覚を覚えた。
そして流浪の民が町を維持する原動力としてクリスタルを使っている可能性に気付き、慌てふためいた。
この部屋全体がバラバラに崩れ落ちる前に急いで来た道を戻るのが一番だろう。


クリスタルもデバイスのビームを反射した。
しかしそれと同時にデバイスがリチャージされているように見えた。



浮いてる石にはなんて書いてあったの?


私には分からなかったよ。
マディがいたら読めたかもしれないね。
彼女なら彼らの聖書の翻訳すらできただろう。


でもでも!
ちょっとだけでも分からなかったの?


うーん、彼らの文字のひとつひとつが私たちの文字のひとつひとつと同じ意味をしているということは分かったよ。
マディが裂け目で読んでた本を私も読んでいたら覚えられていたかもしれないね。


リヌへ。
今週中に必ず太陽の上にいるきみに会いに行くよ。
あんまり痛くない方法を見つけなくちゃいけないね。
それか怖くない方法を。
あなたのローリンより。


親愛なるメリーンへ。
あなたがとても恋しい。
それと、あなたのハエを食べたのは私です。
本当にごめんなさい。
今度会う時に代わりの新しいのを渡します。
愛してる。ナミ。



私は地面に激しく着地し、その衝撃と振動が体を通り抜けた。
スーツは私を保護してくれた。でもなにか少し調子が悪そうだった。
見るとロケットブーツはめちゃくちゃで、着地の衝撃で完全に壊れてしまっていた。
修理するために立ち止ると凍死しそうで、私は進み続けるしかなかった。



フレッドおじさんがこんなに何かを残して行けたのはどうして?
どれくらい荷物を持っていたの?


覚えてる限り、フレッドは物を肌身離さずいることがそんなに得意じゃなかったんだ。
君とそっくり!


ちょっと!ちっとも似てないもん!


ごめんってば!
と、とにかく、彼は旅行中に物を無くすことに自信すらあったんだ。
だからいつも必要以上のものを持ってきていた。
パドルで川下りに行った時も、ライフジャケットを大量に持ってきていて、そのせいでカヌーに体を入れるのもギリギリだったんだよ。


ライフジャケットをなくすのは難しくない?
着てるものじゃないの?


ははは!いいところに気が付いたね!
彼はそんなこと考えもつかなかったんだと思うよ。



他のより明らかに新しいキャンプの跡を見つけた。
たき火はまだくすぶっていて、かすかにフレッドがよく使っていた化粧水の匂いもした。
フレッドの近くまで来ている、改めてそう思った!
フレッドはブーツの修理に使えそうな道具を残してくれていた。

その道具でブーツを修理した。まるで新品のようだ!


氷の下に埋もれたこの場所にかつてあったものが少しだけ見えた。
村があった洞窟とそんなに違いはなかった。
突然氷河が襲い掛かってきたんだろう。押し寄せる冷たい津波のように。
今では見捨てられ、誰も来ようとはしない鍾乳石とつららが落ちるだけの底なし穴になっていた。


フレッドもここまで一人で来たんだ。
私が直面している問題はフレッドにも同じように襲いかかり、そして越えていったんだと思うとすこし安心した。
彼にできたのならば、私にもできるはずだ。


あたりは真っ暗。
だが、トンネルの突き当りにかすかな光が見えた。


フレッド
誰だい?
あれ?甥っ子くん?

フレッドだ!
ようやく見つけたんだ!

フレッド
甥っ子くんじゃないか!会えて嬉しいよ!
しかも君のために作っておいたスーツまで着ちゃって!
でもどうやってここまで来たんだい?

私はスーツを作業場で見つけ、フレッドを探しにここまで来たことを伝えた。

フレッド
長い間留守にしてて悪かったね。
ちょっとここが忙しくってね。
カエル人間だよ、それが僕の実験。
前に見つけたカエルの卵のことは覚えてるかい?
偶然それはここへたどり着いた。そして僕はそれを追わなくちゃならなかった。
僕がここに辿り着く頃には、すでに卵は孵化し、成長していたんだ!
この洞窟は前は何もいなかったけど、この実験でたくさんの命があふれたんだ。
僕は彼らの事を研究して、そのすべてを記録してきた。
そして同僚たちの元へ戻るため、新しくクリスタルの力で動く発射台も作った。
これがどれほどステキなことか彼らにも教えなきゃいけないからね。

私は喋り続けるフレッドを一旦止め、マディの事を話した。
マディと一緒にスターヘイヴンへ行ったこと。彼女はそこへ残ると決めたこと。そしてフレッドに会いに来てほしいと言っていたことを。

フレッド
マドレーヌ…。かわいいマディ!
ずっと前にスターヘイヴンを見に行こうと約束をしていたのに。
彼女はずっと流浪の民のことを知りたがっていたのに。
それなのに僕は…。
彼女を守らなきゃダメだね。
というよりは、彼女を失うなんて僕が耐えられない。
気が変わった。
僕は帰らない。
僕がここに残って研究を続けることに何の問題があるんだろうね?
彼らは僕を必要としてる。
都合が良い事に、どっちにしろこの発射台に2人は乗れないんだ。
甥っ子くんが乗りなさい。

私は家に帰りたくなんてなかった。
だからフレッドとマディと一緒にここにいることはできないかと訊ねたんだ。

フレッド
それはダメだよ、甥っ子くん。
君が僕に会いに来てくれて嬉しかったのと同じくらい、君の帰りを待ってる人がいるんだから。
君は君自身の世界を冒険するのだ!

私は渋々家に帰ることに納得した。
フレッドと離れるのはとても寂しかったけれど。

フレッド
僕だって君がいないと寂しいよ。
でもね、1人でだってきっとすごいことは山ほど起こるさ。
マディと僕のことは心配しないで。
元気でやるさ。
さぁ発射台へ。
準備はいいかい。
元気でな!愛してるよ!
エピローグ

おしまいおしまい。
さぁおやすみの時間だよ。


ちょっと待って!
それじゃあフレッドおじさんはまだそこにいるってこと?


分からない。でもフレッドを見たのはそれが最後だよ。


フレッドおじさんがいなくて寂しくない?


そうだね、ちょっと寂しいよ。
でも心配はしてないんだ。彼は今もどこかで人生という大冒険を続けているんだから。


親愛なるフレッドへ。
フレッドの家へ来るのは今日を最後にしようと思う。
娘に冒険のお話をせがまれて、フレッドたちの話をしたんだ。そしたらいつの間にかフレッドの家に足が向かっていたんだ。

数年前、母が私を連れずに1人でフレッドの家に行ったことがあったんだ。
居なくなったフレッドの荷物をすべて捨てに行ったんだと思ったけれど、掃除をしに行っただけだった。
2人で小さな記念碑を作ったよ。

しばらくの間は昔と同じように毎日ここに来てたんだ。
たまに観測室でそこの工具を取ってくれという声が聞こえたような気がしたよ。

母にあの日の事は話さなかった。
話してもきっと信じはしなかったと思う。
これだけの年月が過ぎてしまったけれど、信じてくれるかな?

フレッドおじさん、あなたのおかげでとてもすごい冒険を見つけることができました。
本当にありがとう。
愛をこめて。甥より。
1 Comments
DarkSK 25 Jul, 2019 @ 4:01pm 
素晴らしい!
丁寧で質の高い翻訳で、大いに助かりました
ありがとう:cozyspaceengineersc: